■2002年2月1日(金曜日)
公私ともにべしょべしょに忙しい。
1月は往ぬ、2月は逃げる、3月は去る、なんてな事を言いますが、1月は本当にあっと言う間だった。
こうなってくると優先度の判断が重要になってくる。つまりは取捨選択、何を生かして何を殺すか。
今のところ殺されているのは睡眠時間と部屋の掃除と食事の支度。もう包丁の持ち方も忘れていそうだ。なんてこったい。
部屋の中は自分でも感心するくらいめちゃくちゃで、最近買ったはずのCDや読みたい本がすぐに出て来ないのが腹立たしい。が、全ては自分のした事なのでどうにもならん。なんてこったい。
おそらくこの状況は4月5月まで続く。これで6月にもバクチクさんが何かやらかしたら……つ、付き合うさ、とことん。
■2002年2月4日(月曜日)
肩凝り腰痛大炸裂で仕事を休む。
先々週、エレベーターを降りようとした時に閉ボタンを押されてひょいっとのけぞった瞬間に腰が「ぐきっ」といったのだ。1月末アップの仕事を終えた安堵感からか、今になって一気に動けなくなってしまった。
ぎっくり腰の前科は2〜3回あるが、今回のは完全にぎっくり行く一歩手前なのでまだ何とかなりそう。
が、肩凝りの方は既に限界を超えて何が何だか分からなくなっている。肩を揉まれても、どの辺を押されているのか分からないのです。
妹から「マッサージに行くべし。それか踊るべし」という暖かいメッセージが携帯に届いたが家から出る事もままならない。よれれれれ。
■2002年2月5日(火曜日)
腰痛コンティニュー。
こうして人が動けない時に限ってピンポン押すなんてどこのどいつだあ………あら郵便屋さん。手に持ったFISH TANKの封筒を見て血の気が引く思い。この時期にチケットが届くはずはない、返金だ。どこがはずれたんだろう。
暗い気持ちで封筒を開けると、何と言う事だ、ちゃんとチケットが入っている。すごい、何が起きたんだFISH TANK。狐につままれた気分と言うのはこういう事を言うのでしょうか。
何はともあれ、一気に気持ちが高揚してくる。寝込んでいる場合ではない。まさに体力勝負の日々が待っているのだ。
■2002年2月7日(木曜日)
帰宅時、駅のホームの電光表示にこんなメッセージが。
「横須賀線は飛来物除去のため運転に遅れが出ています」
飛来物って、なにー?
そして家に帰るとまたもやタワーレコードから留守電。
トレしゃん、今度は2月26日に延期だって………つーことは、バクチクさんのシングル→トレしゃんの2枚組アルバム→バクチクさんのアルバムと、3週連続リリースラッシュというわけだ。これはこれで、うへー。いや、嬉しい悲鳴ってことよね………きっついけどな。
■2002年2月8日(金曜日)
ポラロイド社からDM。
はて、ポラロイドには何の縁もないがのう、と封筒をよく見ると、「吉増剛造ポラロイド写真展」というシールが貼ってある。はああっ。そうか、一昨年、作品展を見に行った時に記帳してるからかな。
案内には、初日に朗読とトーク、レセプションのオープニングパーティーがあるという。日付は2月19日。
よし、決まった、この日は会社を早退してCDを買って吉増さんに会いに行こう。
そのためには……ええ、土日出勤なんて何ともありませんわよ。
「吉増剛造ポラロイド写真展 瞬間のエクリチュール」は、2月19日〜3月20日、虎ノ門のポラロイド・ギャラリーにて開催です。
■2002年2月10日(日曜日)
ワシの携帯は文字入力に予測変換機能というやつがあって、最初に入力された文字から次にくる文字を予測して変換候補を出してくれるので大変便利なのですが(例:い→今井、し→新刊)、「男の」と打ったところ変換候補のトップに「上半身」と出てきました。……どんな会話してるんだか。
■2002年2月12日(火曜日)
雑誌「鳩よ!」が休刊になるそうで。なるほど。よくここまでもったなあ。
創刊当初の「鳩よ!」はかなりクセのある作りで、全然メジャーではない詩人の渋い作品を取り上げたりしていて好きな雑誌だったけれど、段々一般受けしそうなエンターテインメントげな雰囲気が漂うようになってさっぱりつまらなくなってしまった。
蜷川幸雄さんが演出した「詩のコンサート」なんて企画は面白かったなあ。
落ち葉を敷きつめたフロアにドラム缶だの段ボールだの置いてあって、参加する人はその辺に適当に座って、朗読する人がどこからともなく現れて詩を読み出す。この時の田村隆一さんはかっこよかったなあ。
今や詩と言えば、インターネットや一部の「詩人」のおかげですっかり陳腐なイメージしかないけれども、そうではない、極上のものを一般に迎合することなく提供できるメディアがないのは何とも残念だ。
■2002年2月16日(土曜日)
Zepp TOKYOでストロークスのライブ。
ジャパンツアーのチケットはどこも売り切れ、東京ではリキッドルームでの追加公演が決まったもののこれまた秒速で完売。が、「それならもっと大きいところでたくさんの人に聞いてもらいたい」との理由で場所をZeppに変更しての今日のライブなのでありました。なんとも嬉しいじゃありませんか。
でも、果たしてZeppが埋まるのかしらん…と思っていたら大きなお世話でした、完売してたようです。あっらー、そんなに盛り上がっちゃってるのかあ。
中に入ってみるとぎちぎちぎっちり。客層が分からん………外人さんもちらほら。
オープニングアクトに「エックスガール」とかいう日本の女の子バンドが出てきて何曲か演りましたが、どうしてこのバンドがブッキングされたのか謎。ヨーロッパツアーをやるそうです。行ってらっしゃい。
それからセットチェンジ、当然のことながらスタッフが外人さんで、なんとなくSCHWEINのライブを思い出す。どたどたばたばたしてセット完了。ステージセットは何もなくバックドロップさえもない。でも、エックスガールの時に思ったけど、照明がやたら綺麗なんだよな。これはどういうステージになるのか楽しみ楽しみ。フロアの密集度も増してきてBGMが途切れる度に登場を待ち望む歓声があがる。うーん、早く聞きたいぞ。
………待たせるなあ………バクチク並みに待たせるなあ………これはバクチク以上かも知れんなあ………いつまで待たせるんじゃ。いい度胸だぜストロークス。フロアもだいぶまったりぐったりしてきたところでようやくBGMがフェードアウト。時計がないのでわかりませんでしたが30分では済まなかったと思う。いよ、待ってましたあ!
が、これって……それまでのBGMに変わって流れ出した曲は、マイケルジャクソンのビリージーンじゃないかああ! くわー、なんつーバンドよ。これをバックにメンバーが登場するんかい、と思ったらあにはからんや、そのまーんまフルコーラス流れちゃって。おい、ホントにメンバーいるんだろうな。これからアメリカに呼びに行くんじゃないだろうな。
と思ったら今度はシンディーローパーの「ハイスクールはダンステリア」(敢えて邦題)。どこまで人を食ったバンドだよ。君ら本当に20歳そこそこか。これでようやくメンバー出てきました。おお、バックライトに照らされてなんだかかっこいいぞ。タバコくわえてる人もいるな。
あ。い、いかん。シルエットだけだとジュリアン(ボーカル)が櫻井さんに見える。この人、アメリカ人なんだけど日本人体型なんだよなあ。髪もちょうど似たような長さだし。
控えめながらもぐっとくるような照明の中ライブスタート、うお、いきなりオーディエンス飛び跳ねまくり。そういうバンドか、そういうライブか。
ストロークスの音楽は、ロックンロールっちゃあロックンロールだしニューウェーブっちゃあニューウェーブだし、という感じで、ジャンル分けするのがまったく無意味。ロックンロールというよりは歌謡ロックといった雰囲気に近いかも知れない、グループサウンズみたいな泥臭い音。そこに泣きのメロディがとうとうと流れる。ちょっと湿った感じもするし乾いた印象も兼ね備えている。
酒を飲りながらだるい感じでまったり聞きたいなあなんて思ってましたが、目の前に繰り広げられているこの光景はどうよ。ダイブしてますがな………サーフしてますがな………女子も男子も暴れまくってますがな………これはマッドのライブかと思うくらい。
照明がひたすら渋い。直接ライトを照らすのではなく、スモークに光を当てて浮かび上がらせる感じ。メンバーにピンスポットが当たる事もない。時折バックライトにぱっと切り替わる明暗のコントラストが気持ちいい。こういう演出、洋楽のライブでは新鮮だなあ。ちょっとバクチクっぽい。
なかなかライトが当たらない上にステージも見にくい状況の中、ようやくジュリアンの姿が。黒いシャツに白いネクタイを締めて黒いGジャンみたいなショート丈のジャケットを着ています。ボトムは白か水色だな。うーん、やっぱり変なかっこだ。他のメンバーは普通に普通の服を着てるのに、ジュリアンだけ浮いてるんだよなあ。
体型がアレで服のセンスがアレで目がくりくりしてて悶々とした詞を書いて、ワシの中では完全に櫻井さんとダブってます。ボーカルスタイルは全然違うんだけどね。櫻井さんはエロいけどジュリアンはうぶ。これでジュリアンが色気をものにしたら……末恐ろしいというか楽しみだというか。ラストナイトのPVよろしく、うろうろとステージ上を行き来してメンバーの肩にこてっともたれたりする姿も可愛いぞ。MCではI'm sorryとfuckin'とthank youしか聞き取れなかったので何を言わんとしているのか分かりませんでした。でもメンバーみんなよく笑ってたな。
演奏はこれまた独特で、殆どアルバムアレンジのままだけどもともと曲が個性的な上に妙に落ち着いた感じで、もちろんライブならではの熱さはあるんだけど凄い安定感。1曲だけ、なんだか知らんけどハンパに途中でやめちゃってもう1回やろうとして結局そのままだった気が。ちゃんとしたナンバーではなかったような気もするが。
アルバムの曲をすたすたすたっと演って、ドラムセットを壊して彼等は去って行きました。アンコールは無し。正味1時間くらいか。いやあ、いいっすよストロークス。
ストロークスについての詳しい解説はこちらへ。http://beatuk.com/HOT/STROKES/01.html