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slip into chaos - 日々録(2007年1月)

2007年1月1日(月曜日)

年が明けた。

例年であれば喜び勇んで初詣に出かけるところであるが、今年はドクターに「大事な時期ですから人混みには行かないようにして下さいね、風邪なんか引いちゃったらいけませんからね、もちろん、初詣なんてダメです」ときっぱり言われてしまったので、モナー神社にお参りしてきた。絵馬も奉納

絵馬と言えば、先日、アップリンクファクトリーで聞いた吉増さんの「絵馬」を思い出す…私達には子供がなかったから…(ホントにそうなっちゃった、)とつぶやかれた、ふっと息を吐くようにそうおっしゃった、あの時の、愛に満ちた寂寥感とでも言うのか、こんなにもたくさんのものを産み出している吉増さんからふと漏れたひとことに、心がざわめいたような、あの感じ。

でも吉増さんは詩人だからなあ。詩人というのは得てして確信犯であるからにして、情で反応していてはいけない。いけない、いけないと思いつつ、それでもはまっていくからこそ甘露なのだけれども。何のこっちゃか。

それにしても、新型インフルエンザやらノロウイルスやら物騒な伝染病がさんざっぱら騒がれているように見える年の瀬、武道館でもビッグサイトでもマスクをしている人は本当に少なかったなあ。…なんかどっちも初詣より混雑してそうなところじゃねーか(行く前に気付けよ)。何事もなく平穏無事に新年が迎えられて良かったなあ。

2007年1月18日(木曜日)

ゴトウさんのところ経由で行った「孤独のグルメ」の話を読んでいて、ほぼ日での教授の話を思い出した。ジャージを着てる奴が嫌いだ、一人で食事をしてる奴を見るのも不愉快だ、というような話。要するに、人前で生活部分を見せるなという事らしいのだが、これが自分にはさっぱり理解できなかった。学食で一人で飯食うののどこがいけないんだと。誰かとつるんでりゃそれでいいのかと。一人で生活する事の何が恥ずかしいのかと。

その点、この「孤独のグルメ」はいい。“グルメ”という言葉が気にならないでもないが、“孤独”だからこその侘しさが却って引き立つというか、そこはかとない自虐的なにおいがして。ひとりもんの食生活ってこうだよなあと共感できる。どうでもいい事に自分ルールがあったりしてな。

そういえば、前に漫画アクションで女性がひとりでご飯を食べるところを探して食べるマンガやってたよなあ、と思ったらそのマンガのタイトルが「百合子のひとりめし」で原作が同じ久住昌之氏でなんと同人誌として出版されていたと知ってびっくり。なんで同人誌ーーーー。しかもコミティアて! ああああ、冬コミにもデテターーーーーーー!

○| ̄|_

…次のコミティア出るのかな…まだ在庫あるのかな…

あー、こうやってずんずんとマイナーなマンガ読みになっていくのかオイラ。つーかなんで商業でコミックス出ないんでしょ。不思議だ。

と思ったら、こんなページが。

6月14日(月) 「漫画アクション」連載打ち切り!
いきなり電話で。一昨日ファックスした原作は幻になった。人気がないからだそうで、しかたない。
 格闘技の「負けたのは自分が弱いからです」 の気持ち。
 でもタッグで、コンビネーションがわかり始めたな、と言う矢先だったので無念。
「百合子のひとりめし」7回。もう少しやりたかった。いや、やりたいことはたくさんあった。
 組んでいただいていたナカタニDさんの本来の力も十分に発せらせないまま、
新しい可能性を引き出しそこなってしまったようで、 申し訳ない気持ちもあり、
さすがにちょっと凹んだ(ということに翌日だんだん気付いた)。

ページタイトルは“無題ドキュメント”だが久住昌之氏のサイト内の日記だ。そうか、打ち切りか。それで同人で出したのか…。

アクションの判断基準ってよくわからんわー。オイラが好きだった「耳かきお蝶」(Amazon.co.jpビーケーワン)はIE必須のWebマガジンになっちゃうしさー。もう、うちの近所のコンビニじゃ買えなくなっちゃったもんね。最早キオスクにすがるしかないのよ。そのために精神科の受診日も火曜日にしたのよ(病院が駅前だから)。でも「モリのアサガオ」(Amazonビーケーワン)終わったら読まなくなりそうだけどなー。

bk1売り上げ報告

先月の売り上げのご報告です。

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Amazonアソシエイト売り上げ報告

2006年第4四半期(10月〜12月)のご報告です。

ご利用ありがとうございます。

2007年1月24日(水曜日)

映画『それでもボクはやってない』を見てきました。面白かった。凄く面白かった。こないだ試写会で見た『愛の流刑地』があまりにも酷くて、「まともな日本映画を見なくちゃ、このまんまじゃどうにかなりそうっ」という思いにかられて見たわけですが、これが本当に面白かった。

世の中には「これって何とかならないの?」と思うような事がたくさんあって、それは道の段差だったり駅ビルのトイレの無駄な広さ故の個室の少なさだったり郵便物の転送届を4回も出さないとまともに転送されない事だったり障害者自立支援法の改悪による医療費負担の増加だったり、当事者にしてみれば理不尽としか思えないような事が色々色々あるわけですが、周防正行監督が今回テーマにしたのは日本の刑事事件の裁判のあり方。痴漢と間違えられ「自分はやってない」と言っているだけなのにいつの間にか逮捕され起訴されてしまった青年。有罪率99.9%という状況の中で彼に次々と襲いかかる様々な現実。果たして彼は無罪判決を得る事ができるのか。

と、こう書くとなんか堅そうな感じだけれども、映画として単純に面白い。2時間23分という長さで、発端となる出来事から判決に至るまでの過程をひとつひとつ描いてゆくのだけれど、長いとか冗長だとかそういう印象は一切なく、裁判の仕組みなどについての説明的なセリフにも「へぇ〜そうなのかあ〜」と驚いたり納得したりしながら、主人公と一緒に少しずつ知識を得ながら先に進んでいく感じ。もしこれが自分の身に起きた事だったらとか、もうじき始まる陪審員制度で自分が人を裁く立場になったらどう判断するだろうとか、色々な事を考えながら見ていて、それでいて「面白い」と思えるのだから、これは大した映画だと思う。提示してるテーマは重いんだけど、いわゆる社会派映画ではなくてちゃんと娯楽として成立してるんだよなあ、凄いなあ。この映画の制作にあたっては3年以上に渡って取材をしたとか。そうやって綿密に練り上げた作品だからこそ映画として面白いんだろうなあ。色々な人物が登場するけれど、ひとりひとりが人間としてきちんと描かれているから余計な説明がなくてもその人となりが自然と伝わってくるし。これは役者さんの力量もあるけど、その配し方もうまいんだろうなあ。

うん、いい映画を見ました。関連書籍も読みたいなあ。

こうやってきちんと作られた物に触れると、自分もちゃんとしたもん作らなくっちゃなー、って気にもなるってもんです。日々是精進。勉強だ勉強。

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