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slip into chaos - 日々録(2011年5月)

2011年5月15日(日曜日)

いくらなんでも間空き過ぎだ。まあいろいろあったわけですが。

3月11日の地震の時は職場にいて被害っちゅう被害はなかったけどとにかく強い揺れにびっくりして、会議室でテレビ見てきた管理職が「すごいことになってる」というのでこれはテレビは見ない方がいいなと思ったりして、家に帰ってみると仏壇の中身が全部飛び出してたり花瓶が倒れて敷きっぱなしの布団が水浸しになってたほかは部屋も壊れてなくてほっとしたり。ちょうど3月の頭から引っ越し先を探し始めていて11日の夜も部屋を見に行くはずだったというタイミングでの地震で。

その後1週間はわけわからず、2週間はあっと言う間で、3週間経つ頃にようやく時間感覚が取り戻せた感じがしてました。

で、最寄り駅から10分くらいのところによさげな物件が見つかったので速攻で引っ越し、お友達にも手伝ってもらってその日から足を伸ばして眠れるというありがたさでございました。あの時来てくれたみなさん、本当にありがとう。

地震、津波、原発と、自分ではどうにもならないことがどんどん確実に起きてしまってる中で、自分にできることなんて何もないんじゃないかという無力感にさいなまれて、ちょっと苦しかった。職場でもいろいろあって自宅待機したりしてたのですがこの時が一番危険だった、うつの良くない時の状況がぶり返してるなあと自覚するくらい、死にたいと具体的に思ったりして。やっぱり、自分は誰にも必要とされてないと感じることが良くないんだなあとしみじみ思ったものです。あの状態が続いてたらと思うと怖い。人と関わるの苦手だしなあ、なんて言ってられるような年齢ではないんですが。なんかこう、だらだらしゃべりたいんだけど。おれを否定せずに適度な刺激を与えてくれる都合のいい相手はどっかにいないかな、とか考えてしまう。何を言ってるんだ。

そんな中、コミティアとヘンリー・ダーガー展と吉増さんの朗読に行ってきました。

コミティアは今回あまり新規開拓したつもりはなかったんだけど気がついたらバッグいっぱいに本が詰まってて持つのも大変になっちゃって、あれーおかしいなーと思いつつ一旦外に出ようかと思ったら出口近くで企画をやってたのでちょっと見てみたら小学館のIKKIというマンガ雑誌の創刊100号前夜祭とかで原画展やってて、ほへーと見ている間に対談が始まっちゃってなりゆきだからこれも見てみるかと思ってたらこれがまー面白かった。IKKI編集長の江上英樹さんとコミックビーム編集長の奥村勝彦さん…って、桜玉吉のマンガによく出てくるあのO村さんか。ご本人はあんなではありませんでしたが、この人をマンガに描いたらこうなるんだろうなあという感じ(どんなだ)。で、マンガの話、編集の話、雑誌の話、そしてちゃんと震災の話題も当然あって、いろいろと面白かった。こういうタイミングで、物を作っている側の管理する立場の人の話が聞けたのって貴重だなあと思いました。O村さんはマンガみたいな破壊的なキャラではなく、非常にまっとうな仕事人でありましたことよ。

で、三峰さんにもお会いできて少しお話を。お元気そうで一安心。また何かしら諸方面から引き合いがあるらしく今年もあちこちでお名前とあの絵柄を拝見できるようになるみたいです。三峰さんがおっしゃるには、「僕の絵を被災者の人がオカズにしてくれたらいいなーなんて思ってるんですけどねー」と。これにはもう、ね。言葉が出ないとはこのことで。どんだけピュアですか三峰さん。でもそういう三峰さんだからこその今なんだよなあ。頭が下がります。

その他、オイラ定番のサークルさんもみなさん新刊を携えて参加していて、何かしらお声をかけたい気分でしたが何言っていいかわかんないのでありがとうございますというだけで精一杯でした。嬉しいというかありがたいというかよかったなあというか、なんかそんな感じ。コミティアいいな。この場を大事にしたい。

ヘンリー・ダーガーは、まず人の多さにびっくり、ラフォーレミュージアム原宿という場所のせいもあるだろうし連休中ってのもあったとは思うんだけどそれにしても。そして絵の大きさにびっくりです…かなりの幅があるのにみっしり描き込まれてるっていうか配置が緻密で。そして絵に添えられた文字、あれを見たら、これまで感じてた印象と違ってきた。歌ってるみたいに間隔が空いてるんだ、語と語の間が。もう一回見たかったけどもっと勉強してからの方がいいかも知れないな。でも見られて良かった。

そして吉増さんは日本近代文学館の声のライブラリーという企画への参加でした。変わらずお元気そうで安心した…登場されたとき、こちらに気がついて合図して下さった。きゃー。三角みず紀さんと有働薫さんという詩人の方もご一緒で、お二方とも初めてだったけどそれぞれ違うスタイルで面白かったなあ。吉増さんは「花火の家の入口で」を読まれたのだけれど、これは16年前にこの企画の第1回で読まれた作品とのことでその時の映像まで流れてもの凄いサプライズだった…あー吉増さんだなあという感じ。読みながら注釈を入れるスタイルを当時酷評されたとかで今回はそれもあってかなりおとなしく読まれた、というのがかわいいなあ。詩集のページをコピーしたものを横に貼り付けて巻物みたいにして持って椅子に腰掛けてうらーんと手を伸ばして紙を垂らして読んでいる姿がピーター・マーフィーのようでございました。

吉増さんもピュアだよなあ…ヘンリー・ダーガーもだけど。ダーガー、吉増さん、三峰さんという、オイラの中のピュアピュア御三家揃い踏みの5月でありますことよ。

とまあ、こんな感じであります。うひょー。やっぱ書いてないとだめだな。

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