トップページ(i) 上の階層(u)

slip into chaos - 日々録(2014年08月10日)

BUCK-TICK TOUR2014 或いはアナーキー よこすか芸術劇場

台風が各所で猛威を振るう中、ちゃんと開催できるのかなーと心配だった横須賀。風は凄く強かったけど交通機関にも支障なく無事に開演・終了しました。よかった。ライブもとってもよくて。

この会場はオペラ用に建てられたとかで、天井がとても高くて客席が5階まであってホールというより劇場といった方がぴったりくる。2階以上の左右は桟敷席って感じでね。色調も落ち着いて大人向けだけどたぶん音の鳴り方も相当いいんだと思う。これで他のホールとチケット代同じでいいのかなあって思うくらい。

無題のあと、半ば放心状態でいたところにあっちゃんがステージぎりぎりまで歩いてきてふーっと上を見上げて、「ここはきれいだね……」って夢のように言って。会場がふわあって沸き立ったらちょっと背中を向けつつ振り返って「“ここ“がね?」って言って床というかフロアというか“場所“を指差すようにして。それがなんともやさしくて、穏やかで、あたたかくふんわりしていて……さっきまで全身振り絞って曲世界に自分をぶつけて、なにもかも消え去るんじゃないかっていうステージを見せていた人が、今はこんなに……それはやはりこの会場なればこそ、なんだろうなあ。そんなところなんだ。

座席はヒデよりヒデ側、スピーカー前のデルタ地帯で今回のツアーで一番前の位置。花道も近くて目の前でユータとヒデのツーショットとか、今井のスカーフマスク姿も至近距離で見えました。目元メイクばっちりですんげかっこいいでやんの。おまけにあの薄布越しに見える口元の色っぺさときたら。鼻から口にかけてのラインがね。エロいね。でも、激しくポジションチェンジを繰り返す謎の動きをするダンシングチームとノリノリ横ノリの男の人が前にいてステージはあんまりよく見えませんでした。あっちゃんの声がとってもいいから目をつぶって聞いてるだけでもいいんだけど、すぐそこにいると思うとつい見たくなっちゃって背伸びしたり頭のすきまから見えないもんかときょろきょろしてみたり。修行が足りません。いやしかしいろんなお客さんがいるもんで、演奏中ずーっとしゃべってる人もいればわけのわからんタイミングできゃーって叫んだりステージに手を振り出したり座席移動したり。それでもあんな凄いライブやっちゃうんだからバクチクって凄いね。集中の仕方が違うのかなあ。ほんとに凄かった。

自分は基本あっちゃんしか見てないけどあっちゃんの調子がいいときは全体の調子がいいときだよね。バンドのグルーブっていうんですか、そんな感じで、出す音一体でがーっとくる。全体を包み込む。

あっちゃんはとにかくきれいで、近くで見れば見るほど現実じゃないみたいで、花道にきたときは本当に自然に涙がぶわーっときた。光り輝いてるんだもん、内側から。前の方のお客さん見てふわーって笑って。慈愛の笑みですがな。あんな人(人じゃないかも知れないが)目の前にいたら普通じゃいられないさ。ねえ。そういう、これまでとなにか違った感じ。

今回タイトルコール多いよね、初日より増えてる気がするんだけど、メランコリアの動きでも思ったけど、あっちゃんにとってはライブが一冊の本みたいになってるのかな。章立てになってて、いろんなストーリーが入ってる、アラビアンナイトみたいな。それを一ページ一ページめくって語って聞かせてる、そんな感じなのかも。だから身を任せて、音に身を委ねていられるのかも。語るあっちゃんはどんなストーリーにも真剣で、語る自分にもその物語にも陶酔している、でも溺れてはいないから聞く側を酔わせることができる。そんな印象。

自分が作ったんじゃないストーリーにも真剣だよね、世界は闇で満ちているとかね。でもなー、「花束咲いた」はないわ。花束は咲かないでしょう。その辺りがどうも雑な感じがするんだよなあ、最近の今井さん、曲も言葉もどこか「あれっ」て感じがしてね。カット野菜でフルコース出されてるような気になるのよ。うまけりゃいいじゃんって言われそうだけど、そうじゃないのよ。きゅうり一本でも、この味噌つけて食うとうまいんだぜ!みたいな、このきゅうり今朝もいできたばっかりなんだぜ!みたいな、泥臭くても額に汗して供してくれる、その感じが足りないんだよなあ。「花束咲いた」って言われちゃうとなあ。あっちゃんちはいろんなお花咲いてますよね、さくら、コスモス、チューリップ、ハイビスカス、幻想の花も咲いてたっけか。狂い咲く花園もあったか。花園は生きてるから咲いてていいんだよ、でも花束は違うだろー。閑話休題。

にしても今井さんてほんと変……どういう仕組みになってるのかなーあれ。関節とかちゃんとしてるんだろうか。日常生活に支障ないんだろうか。っていうレベルの変さ加減のあの動き。謎だ。

謎といえばしでしこさんも謎だ、謎っつーか一体いつの間にあんなどやっぷりが増してたんでしょうか。凄かったもんなー、「こいつは自分のファン!」って察知したときのドヤドヤ感。なんだあれ。うへえって思っちゃった。あれがいいのかあ……そうかあ。

そんなこんなで、会場そのものの雰囲気も手伝ってか、圧巻のステージでございました。たいへん美味しゅうございました。またここでやってほしいなあ。きれいな場所で会おう。ね。

トップページ(i) 上の階層(u)