ミニマルミュージックの祖と言われるスティーブライヒの初期作品集。
短いフレーズの反復を2本のテープで再生し、それが微妙にずれていく。この「ずれ続ける」という矛盾した事象の中に広がる世界。
「ずれ」を認識するという事は、2つ(あるいはそれ以上)の音を同時に聞いたときにそのいずれかに自分の意識の起点を置くという事で、それは当然聞き手によって違ってくる。つまり作品を聞く事で個々の中で作品が完成するというわけ。これだけ実験的な作品にもかかわらず閉鎖的な印象を受けないのはそのためかも知れない。
これを聞いていると、「聞いている自分の存在」が徐々に明確になってきてはっとさせられる。インタラクティブとはこういうのを言うのではないだろうか。
(1999.05.01)