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slip into chaos - インターネットのつらさ

海外で暮らしている友人から久しぶりにE-mailが届く。見ると、親しくしていた友達が自殺してショックを受けているという。短い文面からは友人の心情が痛いほど伝わって来て、読むほどに返す言葉が見つからなくなっていく。

メールの最後には「こんなときは誰かと静かに飲みながら話がしたいのに出来ないのが残念だ」とあって、ああそうだよな、だから余計につらいんだよな、と思う。そばにいれば何も言わなくても気持ちが癒されるのに、今のわたしには友人の痛みが伝わってくるだけで何も出来ない。このもどかしさと理不尽。

インターネットやE-mailは情報が即座に伝わるのが特徴で、わたしもいつもこの恩恵にあずかっているのだが、これはコミュニケーションとしては万能ではないことに時々こうして気付かされる。人と人との関係は情報のやりとりだけでは成立しない、情報として伝わらない部分を忘れてはならないと。

他にもインターネットをやっていてつらくなることがある。

「インターネットは、そこで発言すれば、否応なしに個人意識を育んでいくことになる」とは詩人の鈴木志郎康さんの言葉だが、中には成長する人とそうでない人がいる。ホームページなり掲示板の書き込みなりを見ているとそれが如実にわかる。

自分と同じ意見の人達とだけつるんで愚痴をこぼしたり人の陰口に終始したり、「こんなことやってて楽しいのかなあ」というサイトは多い。そういう向上心のない人には興味はないのだが、そういうのに限ってカウンタを気にしたり「更新したのに反応がありませんね、もう誰も見てないんでしょうか(苦笑)」なんて書いてあったりであきれる。個人意識が歪んだ方向に育っているのであって、こんなのばっかりでは将来はどうなってしまうのだろうとわたしは本気で思うのだ。

(1999.06.06)

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