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slip into chaos - ライブ「Chemical Brothers」2000年1月8日(土曜日)東京ベイNKホール

今年初めてのライブ。去年の今頃はマリリン・マンソンを見るためにまさにこの場所にいたのかと思うと感慨深い………なんて思ってる暇も無く、19:00の開演時間ぎりぎりに会場近くのバス停で下ろされたわたしと連れは「まだ大丈夫だよね、たいていちょっと遅れて始まるもんね」などと言いながら早歩きしていたのだが。いきなり会場の中からずぎゃーんという大音響とともにうおー! というすごい歓声。うそ。時間ぴったりじゃん! あわてて走って入場し2階の扉を開けたら、真っ暗な中に響きわたる音と飛び交う光。なんとか自分の席を見つけ出しまわりを見回してもよく見えない。下のフロアにはどれほどの人がいるやら? 広いステージ上にはでかいテレビモニターが5〜6台並んでいてその上に機材がごんごんと並び、後方にはスクリーンが3面。ステージの両脇にもスクリーン、天井からもひとつ下がっている(そしてステージの左右の壁にも映像が投影されていたから合計8つの映像が流れていたわけね)。場内はすごい熱気。そしてずんずんくるビートと共にスクリーンには一斉に「Hey Boy Hey Girl」の文字が。うおおおおーーと凄い歓声、「Here We Go!」の大合唱。その瞬間、照明がちょっと明るく全体を照らしたときに、見えた! スタンディングフロアはぎゅうぎゅう詰めの人・人・人! NKホールがでっかいディスコになってる! 2階席のみんなも踊りまくり! これでもう汗びっしょり。

CDで聞く曲はどれも完成度が高くて、これがライブでどうなるのかな〜と思ってたんですが、どれもこれもまあ、数段かっこよくなって! 自分達の音源を使ってものすごいDJを繰り広げているという感じ。途切れることなく曲が流れ、その繋ぎ方もまたかっこいいんだあ。これはライブで聞かなきゃ踊らなきゃ! って感じでございます。曲が進むに連れ、周りの人達が上着を一枚ずつ脱いでいくの。休む暇無し! 照明も、すうーっという感じで全体をなめていったり、ばりばりと光って見せたり、音と一体になって全体が盛り上がる!

それにしても洋楽のライブってどうしてこんなに音がいいんでしょう。ものすごい音量でがんがん鳴らしているんだけど、ひとつひとつの音がくっきり聞こえる。だから、音に込められたアーティストのメッセージがダイレクトに感じられるのかな。すべての音が自信に満ちているの、それはアーティストの自信でありスタッフの自信でもあるのね。素晴らしい。

ケミカルが伝えるメッセージはとてもはっきりしている。未来は明るい、自分達が作り上げる未来が暗くて陰惨なものになるはずがないって、ものすごく前向きでポジティブなメッセージ。本来、ロックの反骨精神って、ろくでもない現状を変えるためのものであったはずなのね、それがいつの間にかただの遠吠えみたいになっちゃって、自分さえ楽しけりゃそれでいいやってな刹那的な考え方が主流になってるように思える。そうじゃなくて、このくだらない世の中を変えていくために必要なのは前向きなパワーであるべきだということを根底にすえていると思うのよ、ケミカルは。最後にスクリーンに映し出された「Love is All」という言葉、なんてクリアな伝え方なんだろう。ライブの最中に、こんなライブを自分が経験できる事、ひいては自分が生きている事、自分に備わったすべての器官と機能と性能に感謝したい気持ちで一杯になって、意識がちょっと遠くの方に飛んで行ってた。その間も身体はずっと動いてるんだけどね。この心地よさ。

本編が終わってメンバーがステージを立ち去っても音はずっと流れていてまだまだアクトは続いている。場内のテンションも下がることなくメンバーを呼び続け、そして再登場! アンコールも本編に組み込まれているみたいな凄いアクト。プレイを終えたメンバー二人が両手を上げて「やったね!」という感じで頭上でぱちん! とやったときにはこっちも嬉しくなってしまいました。

おまけにメンバーがステージから去った後もまだずっと曲が流れてるんです、「せっかくだからもうちょっと踊ってけば?」って感じで。客電も落ちないし無粋な終了アナウンスも流れないし、ライブの余韻そのままに帰る人もいれば踊り続ける人もいて。こういうのって気が利いてて嬉しい! 21時5分前にきっかり終わったときに場内が明るくなって拍手拍手拍手。最後までいい気分にさせてくれました。

そんな感じで今年の年明け、とっても気持ちのいいライブでした。

(2000.01.10)

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