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slip into chaos - 日々録(2008年11月)

2008年11月9日(日曜日)

血液センターから連絡がきて、白血球の型が合う患者さんが献血を必要としているので協力してもらえないかという。ほう。そういえば前に献血した時、もしよければ白血球の型を登録させてもらえないかと言われたのではいいいですよと答えたのだった。これは献血を複数回している人に依頼しているようだったっけな。で、今回それに適合する患者さんがいるというわけ。そんなわけですぐに献血の予約をして当日献血センターへ。

行ってみて思い出したのだが、献血センターは土日などは結構混んでいて検査の順番待ちやらなんやらで30分くらいかかったりするのだが(献血そのものの時間は含まず)、並んでいると時々「予約の方優先で拝見します」とか「ご依頼の方お先にお願いします」なんていって後から来た人が先に検査されたりするのである。予約というのはその通りなんだろうと予想はついたが、そうか、ご依頼というのはこういうことか。

このところ自分はもっぱら成分献血なのだが今回もそうで、献血の方法自体はいつもと同じ。一旦血を取って必要な成分を取り出し残りの血を返すということであるらしい。ベッドに寝て採血位置の消毒なんぞをしている間に看護師さんがオイラのデータを見て「今回は3回ですね」と言った。ふむ。血を採って返すというのを3サイクルやるわけだ。1回20分弱なので小一時間かかる寸法。いつもそんなもんだ。

うまいこと血管に針がすんなり入ってくれて採血開始、本など見ながらぼへっとしていると近くのベッドに別の提供者(?)さん。と、「あらー数字大きいですねー、これなら2回でお返しできますねー」「あーいつもそうですー」なんてやりとりが聞こえてきた。そうか。取り出す成分の量は1度の献血では一定量と決まっているのか。その割合は人(場合)によって違うから、だからサイクルが2回だったり3回だったりするのだな。うーむ。だいぶん献血やってるけど今まで気がつかんかった。人生、勉強だ。

そうこうするうち隣のベッドが空いて看護師さんが次の献血の用意にかかった。成分献血用のキットみたいな、ガラの大きなパックをがばっと開けて中から器具を取り出す。血液パック的なものから管がびろんびろん伸びている。パックを備え付けのマシンにセットして管をホイール的なところにぎゅむぎゅむ押し込む。マシンのスイッチをぺしぺしと操作するとホイールが回転し出す。おお。その間、なにやらメモをとったりシールを貼ったりととにかく忙しい。極力操作の手間と無駄を省きミスのないように設計されたであろう機械と道具たち、それを意図通りに操作する技能者。機械好き道具好きの自分にはうはうはな光景だ。

そういえば。今回の採血は一発でうまくいったが、以前、検査の時になかなか針が入らずかなり手間取ったことがあった。刺したところから探り探りを繰り返しても当たらず、針を抜いて刺し直し。「血管細いんですかねー」と何の気なしにつぶやくと、看護師さんが物凄く慌てた様子で「いいえっ。そんなことはありませんっ。ちょっとこう、血管と脂肪がコリコリとして似ているもんですから、ちょっとこう、わたしが間違えてしまったんですっ。決して、決して、血管が細いなんていうことはありませんからっ」と言うのでびっくりしたことがあった。なんだろう、医療界では血管が細いというのはそんなに不名誉なことなんだろうか。

ともあれ、これが無事に必要としている患者さんのところに届くといいですよ…久しぶりに人の役に立ったって実感が嬉しいなあ。

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