1月10日。
なんて必死なんだトレント………。すごかったです。泥臭いライブなんだけど、この人はやはりカリスマで、選ばれた存在であるが故に孤独なんだなあと思いました。長袖シャツをまくっていたので、ぶっとい二の腕が見られなくて残念でした(何を見に行ったんだ)。開演まぎわになって後ろの席(スタンド席だった)にやってきた女の子二人連れが、文字通り黄色い声で「きゃーーーーーーっ!」「きゃーーーーーーーっ!!!」「トレントかっこいいーーーーーーーーっ!!!」と叫ぶので何度か耳をふさいでしまいました、ライブ中に耳をふさぐことがあるなんて、うう。それにしてもいろんなファンがいるもんだなあ、カリスマも大変だなあ。
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1月14日。
この日のトレしゃん(既に呼び方が違っている)はノースリーブ! ああ! このぶっとい腕が見たかったのよ! パシフィコ横浜でのライブは初めてだったのですが、意外と小さい感じで全席指定で、NKホール初日の盛り上がりを見てしまった身にはちょっとなあ〜でした、音もね、全体でうわーんと鳴る感じではなくて、ちっちゃくまとまって前にぽんと出されたみたいにこじんまりしてて、横っちょの席だったわたしはそれを横から眺める感じ。
始めの方ではトレしゃんは元気! むちっとした身体でぴょんこぴょんこ飛び跳ねまわるトレしゃん。ギターのロビしゃん(誰だよ)の逞しく長い腕のとなりに並ぶと愛らしさもパワーアップ。トレしゃんはロビしゃんのギターをぶんどってほっぽり投げたりしてました、水もざばざばかけてましたがロビしゃんは「うぜえよおやじ」みたいな感じでトレしゃんの事をソデにしてました。
曲順は若干違ってましたが全体の構成はそのまま。その中程、ステージ前に落とされた幕に映る水や細胞や宇宙の中に流れる音を聞きながら、わたしの中にあったある疑問に答えが訪れました。
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ケミカルのライブで、音楽がピュアにアーティストのメッセージを伝えられる事に感動したわたしは、その一方で「言葉では何が出来るのだろうか」と考えていました。言葉というのはなまじ言葉であるために誤解を受け易く表現の仕方がものすごく難しい、世の中には貧しい情報ばかりが飛び交い人の心を埋めつくそうとしていて誰もが自分を語る事に夢中になっている、そんな中で言葉に意味を持たそうとするのは虚しい事なのか。そんな疑問をこの数日抱いていてあれやこれや考えていたのですが、いきなりこのライブ中にその答えがやってきたのでした。
わたしには言葉しかない、それも詩という形でもって表すしかない。
こんなにシンプルな答えだったなんて、その事自体にも驚きましたが、こんな、頭を抱える系の音楽の中でそれが見つかるのが不思議だった。でも、目の前にいるその人は自分に出来る唯一の方法で自分を表現して来て、苦悩の末に音楽という答えを見出した人だったんだ。そのエネルギーに触れた事で自分の答えに出会う事が出来たのかも。10日のライブではただただ圧倒されてその存在の大きさを思い知らされて、その下地があっての14日だったので可能だったことなのかと思います。NINの作品は聞くのに覚悟がいるというか、生半可な気持ちでは聞けない、精神的にも物理的にも余裕がないとなかなか聞けなくて、アルバムを充分に聞き込む事のないまま臨んだライブだったのですが、それでも2回行って良かった。トレしゃんに出会えた事に感謝、生きている事に感謝。
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去年は色々な事に手当たり次第ぶつかって行った年でしたが、今年はその中から選択して何かを掴む、何かを吸収する年になるのでしょう。選択するという事は捨てる事でもある。その時に自分が下す判断がクリアなものでありますように。
(2000.01.19)